電子カルテで歯科の診療業務はどう変わる?導入メリットとコストについて解説
近年、歯科を含めた医療業界で導入が進んでいる電子カルテ。導入の必要性を感じてはいても、どのようなメリットがあるのか、また実際に業務がどのように変わるのか実感しにくいという方も多いのではないでしょうか。今回の記事では、電子カルテの導入メリットやコストについてまとめました。
電子カルテの導入で診療業務はどう変化する?
電子カルテを導入することで、診療業務はどう変化するのでしょうか。電子カルテにはさまざまなメリットがありますが、特に診療業務の効率化に寄与するポイントとして、データの一元管理が可能になる点があげられます。
電子データの強みは、患者さんの情報にスピーディーにアクセスできる点にあります。紙のカルテを使用する場合、診療を始める前に予約のある患者さんのカルテを探したり、来院した患者さんごとにカルテをチェアサイドに持ち運んだりといった準備作業が必要になります。電子カルテで運用する場合、こういった作業の手間がなく、院内のパソコンをはじめとしたあらゆるデバイスからスピーディーに情報にアクセスすることができるようになるため、診療業務の効率化につながります。また複数の勤務医がいる場合、電子カルテを導入することでスピーディーに情報共有できるようになります。
紙のカルテの場合、しばらく来院していない患者さんについてもカルテを整理したり、保管したりといった管理の手間がかかることになりますが、電子カルテの場合はその心配もありません。保管スペースを用意するためのコストを節約できるのも、大きなメリットと言えるでしょう。
地域包括ケアシステムにおける電子カルテの必要性
電子カルテは、近年必要性が増している地域包括ケアシステムの構築という視点でも重要な存在といえます。
地域包括ケアシステムとは、人口減少社会における介護需要に対応するため、医療や介護などの専門職や地域住民が連携し対応していこうとする取り組みを指します。こうした連携体制を構築するうえでは、患者さんの歯科情報が分断されることなく横断的な歯科医療・口腔保健が提供される体制づくりや、地域包括ケアシステムを議論する各種協議会において歯科医師が参画する体制を実現することが重要といえるでしょう。こうした動きの重要性については日本歯科医師会においても強く意識されており、2023年7月11日に厚生労働大臣に提出された令和6年度(2024 年度)制度・予算要望書には、以下のような取り組みや政策を充実させることが重要であると言及されています。
■かかりつけ歯科医機能の充実を図り、ICT(情報通信技術)を活用した多職種との連携を可能とすることなどによる、将来に向けての医科歯科連携のさらなる強化
■ICT技術の活用による、以下の取り組みの強化
・医療情報の共有による基本的な医科歯科相互支援
・地域歯科診療所と歯科医師の配置の無い医科病院との周術期口腔機能管理における連携協力
・退院時カンファランス等への積極的な歯科診療所からの参加
・病気や障がいを抱えて歯科受診が困難な方への受け皿の確保
・災害時対応などに係る環境整備を含め、現在は必ずしも十分でない歯科の配置促進や機能の充実への取り組み
※令和6年度(2024 年度)制度・予算要望書 | 日本歯科医師会より、一部を抜粋・改変
また、この要望書では国が進めている医療DX(全国医療情報プラットフォーム、電子カルテ情報の標準化と標準型電子カルテの検討、診療報酬改定DXなど)をはじめ、歯科医療機関のICT化の支援についても言及されており、将来的に政府がこうした要望に応えて予算付けを行うことも考えられます。
こうした日本歯科医師会の一連の動きを見ていくと、電子カルテの必要性が年々増していると考えられるでしょう。将来的に電子カルテは、歯科医院を経営する上で必要不可欠となる状況も十分に想像できます。
電子カルテ導入にはどのくらいの期間が必要?
ICT技術の比重が年々高まっている状況や、行政の動向を踏まえると、将来的に歯科医院にとって必要不可欠な存在となることも十分考えられる電子カルテ。実際に導入する場合、どのくらいの期間が必要となるのでしょうか。
紙カルテから電子カルテの運用に切り替えた際の、弊社レセコンをご利用のお客さまのモデルケースをご紹介します。
4月(初旬):電子カルテ導入のヒアリング、見積り請求
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4月(中旬):導入日の決定、機器の準備
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5月(中旬):機器の導入、インストラクターによる入力説明
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6月 (初旬):必要に応じてインストラクターによるレセプト説明
電子カルテは「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に示されている電子保存の3原則(「真正性」「見読性」「保存性」の3原則)を満たしている必要があり、カルテのデータを保存するパソコンも指定されたスペックを満たすものを用意する必要があります。こうした機器の準備、導入を踏まえると、実際に電子カルテの運用を始めるには少なくとも2ヶ月程度の期間が必要になります。
早め早めの準備が必要なことは言うまでもありませんが、それと同時に、電子カルテの運用方法をしっかりと考え、スタッフと共有しておくことが重要です。電子カルテのオペレーションは慣れるまで時間がかかることもあり、運用方法をマニュアル化してスタッフ間で共有できるようしておくこともおすすめです。
MICの電子カルテ「MIC WEB SERVICE」だからできること
いつでも始めたいと思ったタイミングで導入が可能
MICの電子カルテサービスはサブスクリプション(月額課金)も採用しているため、いつでも始めたいタイミングから月額利用料をプラスするだけでスタートできます。指定スペックを満たすパソコンなど導入に必要なハード機器も、事前にご相談いただくことでスムーズな導入が可能です。
電子カルテ記載事項の充実
MICは1976年の創業以来、歯科向けソフトウェアの開発・販売を続けてきました。その中で、ユーザーである歯科医院からの要望を活かし、システムの最適化を進めています。電子カルテにおいても、すでにご利用中のユーザーからの要望をもとに、アップデートを進めておりますので、安心してご利用いただけます。
タブレット端末を活用したサービスが充実
歯科診療と親和性の高いタブレット端末を活用したサービスが充実しているのも「MIC WEB SERVICE」の大きな特徴のひとつ。例えば「TABLETビューワ」は、来院状況、1号カルテ、2号カルテ、1歯ごとの処置履歴、補綴状況など患者さんの情報をまとめてタブレット端末で確認できます。このほか、タブレット端末から歯周検査値を入力できるサービスや主訴・所見を入力できるサービスもご用意しており、活用次第で診療業務の大幅な効率化を実現することができます。
電子カルテと相性のよいクラウドバックアップサービス
「MIC WEB SERVICE」では、電子カルテのバックアップデータをクラウド上に保存することが可能です。万一、自然災害やハードウェアの故障、盗難など院内で大切なデータが消失した場合でも、クラウドからデータを復元することができます。データは日々入力されたものがクラウド上に自動でアップロードされるため、バックアップの手間がかからないのも大きなメリットといえます。
まとめ:電子カルテには多くの導入メリットがある
電子カルテには診療業務やカルテ管理の効率化などさまざまなメリットがありますが、これまでと業務のやり方が変わるのではないかと戸惑いの声があるのも事実です。しかし、最近では操作性の向上によりスムーズな入力が実現していたり、レセコンと連携してすぐに利用を始めることができる月額課金の電子カルテが登場したりと、導入しやすい環境も整ってきました。この機会に、ぜひ電子カルテの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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