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歯科医院の開業に適した立地とは?立地ごとの特徴、選び方のポイントを解説

歯科医院の開業に適した立地とは?立地ごとの特徴、選び方のポイントを解説

独立することを決めたドクターが頭を悩ませるのは、歯科医院を開業する立地ではないでしょうか。ひと口に歯科医院と言っても、立地が変われば患者層や歯科医院として求められることも変わってきます。今回のコラムでは、歯科医院を開業する場所について、立地ごとの特徴や選び方のポイントをご説明します。

まず考えるべきは、歯科医院を開業する立地

厚生労働省が2023年に発表した「令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、2021年10月~2022年9月までの1年間に新規開設された歯科診療所は1,333件、一方で廃止となった数は1,410件とされており、開業数と廃業数がほぼ同数であることが明らかになっています。

この数字はここ数年大きく変化しておらず、開設、廃止ともにいずれの年も1,200〜1,400件程度の数字で推移しています。廃業する歯科医のなかには高齢によるリタイアも含まれてはいますが、それでも歯科医院の経営の難しさがうかがえる数字と言えるのではないでしょうか。歯科医院を長期にわたって経営していくためには、きちんとした事前の準備とさまざまな工夫が必要です。特に立地選びは、集患という視点において非常に重要なポイントとなります。

また、歯科医院を開業する立地選びは、事業計画の作成や開業スケジュールの視点から言っても、まず考えるべきポイントと言えます。歯科医院を開業する立地には商業施設や住宅地、オフィス街などさまざまな選択肢がありますが、場所が変われば訪れる患者さんも変わり、医院に求められることも変わります。歯科医院の立地選びは、どのような医院を作っていくか、またどのように経営していくかに大きく関わるため、独立を決めたらできるだけ早い段階で考えるべきことと言えるでしょう。

立地の種類

歯科医院を開業する際の立地には駅前、商業施設内、オフィス街、住宅地などがあります。それぞれの特徴やメリットなどをまとめました。

  

駅前

公共交通機関となるJRや私鉄などの駅前は人の流れが見込まれ、歯科医院の存在を認知してもらいやすい場所です。その地域に住む人はもちろん、仕事や買い物で駅を利用する人も利用者として取り込むことができます。また、さまざまな属性の人が集まるため、時間帯や曜日を問わず集患しやすいメリットもあります。

ただ、こうしたメリットは飲食店やショップなど他業種にとっても同様で、駅前のテナントは非常に高いニーズがあります。そのため、賃料は同じ広さでもほかの立地に比べて高くなる傾向になり、駅前で開業するためにはそれをカバーするだけの売り上げを出すことが求められます。

  

商業施設・医療モール

ショッピングモールや大型スーパーマーケットなどの商業施設は人の流れが多く、認知してもらいやすい立地といえます。開業したばかりでも比較的集患しやすいというメリットはありますが、一方で駅前に比べると人の往来は土日に集中する傾向にあります。そのため医院経営を考えるうえでは、土日も診療日とする検討が必要でしょう。そのほか施設によっては出店条件の確認が必要となります。

ショッピングモールなど大型商業施設の一角に医療施設が集まった医療モールも、同じような特徴、メリットを持った立地と言えます。また医療モールは商業施設に併設されたもの以外にも、戸建てクリニックが集まる「医療ビレッジ」、ビルテナントすべてが医療機関の「医療ビル」など様々な種類があります。医療モールは複数のクリニックが入るため、家族で異なる診療科にかかりたい患者さんにとっても利便性が高く、地域の人々の間で評判になれば安定した集患が見込めるでしょう。

  

オフィス街

オフィス街にある歯科医院は、その近隣エリアで働くビジネスマンの利用が期待できます。商業施設とは異なり平日の利用者が多くなるため、土日はゆっくりと休みたい先生にとっては適した立地と言えるでしょう。その一方で、ビジネスマンの多くは昼休みや仕事帰りの診療を希望する傾向にあります。そのため、遅い時間まで診療所を開けておく必要があり、ほかの立地の歯科医院とは診療時間がずれることから、スタッフの求人に影響する可能性があります。

このほか、オフィス街は都市部のなかでも一等地にあることが多いので、ほかと比べて賃料が高くなる傾向にあります。そのため、ビルの地下や2階以上で開業することも選択肢に入れる必要がありますが、こうした立地は視認性が悪く、集患に影響するリスクがあることを考慮する必要があります。

  

住宅街

住宅街にある歯科医院は、周辺地域の住民が利用することが多く、子どもや主婦、高齢者などさまざまな人が患者として集まります。「お兄ちゃんが診てもらったから妹も診てもらいたい」「子どもと同じクラスの子のお母さんが通っていたから」などのように口コミが広がりやすく、「町の歯医者さん」として頼りにされれば、安定した経営が見込めるメリットがあります。

また、住宅街の中であれば、自宅を改装して歯科医院を開業することも選択肢のひとつです。自宅を活用することで、開業コストを抑えられるメリットがあります。ただし、自宅の立地や構造によっては、歯科医院としての設備や動線の確保が難しい場合もあるため、慎重な検討が必要です。

一方で、ひと口に住宅街と言ってもさまざまな地域があります。小児歯科で開業したいと考えている場合、地域に学校があるか否かで来客数が変動すること、また場所によってスタッフの求人が左右されることなどに留意しておく必要があります。

これはNG!開業場所の間違った選び方

開業場所を選ぶ基準や方法は人によってさまざまですが、以下のような選び方は避けることをおすすめします。

  

診療圏調査を怠る

開業する立地を考えるうえで、診療圏調査は必ず行うようにしましょう。診療圏内における人口密度はどの程度か、競合となる歯科医院は何件くらいあるのか、また地域の特徴やニーズが高そうな診療科目などを調査し、ご自身が理想とする歯科医院を開業するのに適した立地であるかをしっかりと見極めることが大切です。例えば、自費診療の割合が高い歯科医院にしたいと考えている場合、平均世帯収入がある程度高い地域を選ぶべきでしょう。

こうした地域の特徴やニーズを考えず「賃料が安い」「親や知人に勧められた場所だから」などの理由で場所を選ぶことはおすすめしません。開業する場所を選ぶ場合は、しっかりと調査を行い、根拠に基づいて選ぶことが大切です。

  

現地を見ないで決める

診療圏調査と同じように、現地調査も重要なポイントとなります。例えば、先に紹介した駅前や商業施設などは確かに人の流れが活発な場所ですが、なかには動線の関係で人の目につきにくい場所もあるかもしれません。商業施設の中でも通り抜けできない通路の行き止まりのような場所や、駅前でも人の利用が少ない出口の周囲などは気をつけた方がいいでしょう。

こうした人の流れは地図だけでは見えにくく、実際に現地まで足を運ばないと分からないこともたくさんあります。どのような層の人が多く通るのか、人が集まりやすい場所かなど、その場所の情報をできるだけ多く集めることが大切です。

こうした診療圏調査や現地調査は、開業後の集患や経営を左右する大切な調査でもあります。間違った立地選びをしないためにも、専門的な知識やノウハウを持ったディーラーやメーカー、開業コンサルタントを活用することを選択肢のひとつとして検討することをおすすめします。

歯科開業に適した立地を選ぶポイント

開業場所を選ぶ際には事前の調査は欠かせないものの、調査後どうやって開業場所を探したらよいのでしょうか。歯科開業に適した立地を選ぶ際に押さえておきたいポイントをまとめました。

  

歯科医院のコンセプトに合わせて立地を選ぶ

開業する立地を選ぶ際は、歯科医院のコンセプトに合わせることが重要です。例えば審美歯科をメインの診療科目にするなら女性が来院しやすい場所、小児歯科なら若いファミリー層が多いエリアにするなど、ターゲットとなる患者さんが多い立地を選ぶようにしましょう。

  

動線上にある物件を選ぶ

多くの患者さんを集めるためには、人の動線上にある物件を選ぶことが大切です。先にも紹介したように、駅前や商業施設の中のように人が集まる場所でも、人の動線がなければ良い場所とは言えません。「仕事帰りに通える」「買い物のついでに通える」など、人々が日常生活のなかで足を運びやすい場所を選ぶことが集客につながります。

  

開業場所を決める時期

歯科医院を開業するための物件探しは、立地や物件の広さ、家賃などさまざまな点を考慮する必要があり、意外と時間を要する場合があります。立地や物件探しの期間は種類にもよりますが、1年〜1年半ほどかかるケースも珍しくありません。当然ながら開業場所はそれ以前に決めておく必要があり、事前に診療圏調査も必要となります。独立を考えるようになったら、開業場所はできるだけ早い段階で意識しておくことが大切です。

まとめ:開業する立地は経営の安定化に大きく影響する

歯科医院をどこに開業するかは、経営の安定化に大きく影響する重要なポイントです。ご自身が思い描く歯科医院のコンセプトに合わせて、しっかりと検討することをおすすめします。

このほか、本コラムでは歯科医院の開業、また物件の選び方に関する以下のようなトピックをご紹介しています。ぜひ、あわせてご覧ください。

  

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